ビジネスがグローバルに展開されるに従って、海外赴任になる社員は増えていきます。海外赴任で気になることの1つと言えば、健康問題ではないでしょうか?
今回はそんな海外赴任と、健康診断、産業医面談などについてです。
海外赴任で健康診断は必要か?
必要です。
海外赴任が6ヶ月以上になる場合、海外赴任前と帰国後に、健康診断を受ける必要があります(労働安全衛生法第四十五条の二」)。
海外赴任で健康診断、何の項目をすべきか?
基本的には、法定項目の範囲で問題ありません(下記)。
- 既往歴・業務歴の調査
- 自覚症状および他覚症状の有無の検査
- 身長、体重、腹囲、視力、および聴力の検査(1000Hz・30dB)(4000Hz・40dB)
- 胸部エックス線検査および喀痰検査
- 血圧の測定
- 尿検査(尿中の糖および蛋白の有無の検査)
- 貧血検査(赤血球数、血色素量)
- 肝機能検査[AST(GOT)、ALT(GPT)、γ‐GT(γ‐GTP)]
- 血中脂質検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪)
- 血糖検査(空腹時・随時)またはHbA1c
- 心電図検査
ただし、渡航先によって、流行している感染症、寄生虫の種類などが異なるため、場合によっては下記の項目も「医師が必要であると認める場合に」実施しなければなりません。
- 腹部画像検査(胃部エックス線検査、腹部超音波検査)
- 血中の尿酸の量の検査
- B型肝炎ウイルス抗体検査
- ABO式およびRh式の血液型検査(派遣前に限る)
- 糞便塗抹検査(帰国時に限る)
健診先の医師、もしくは企業の産業医が必要性を判定します。
海外赴任の健康診断、引っかかる場合はどうする?
海外赴任の健康診断で引っかかった場合、産業医がその健康診断結果の事後措置を行う必要があります。
具体的には、何かしらの異常があった場合
- 重要か、重要でないか
- 緊急か、緊急でないか
の2軸で、判断をしなければなりません。

例えば重要かつ緊急の場合、一時帰国も必要になります。
逆に重要だが緊急ではない場合、次回の帰国予定日の確認が必要で、場合によっては帰国を早めてもらう必要があります。
このように上記2軸のマトリクスで取るべき対応が変わってきます。
海外赴任中、産業医面談はどう行うべきか?
海外赴任中であっても、必要に応じで産業医面談は行うべきです。
実際、海外赴任中でも、産業医面談はリモートで行うことができます。
とはいえ時差があるので、お互いに歩み寄って負担のない時間を設定しなければいけません。
また何もなくても、弊事務所の顧問先でも
「日本語で日本人の先生に定期的に健康相談をできるだけで、家族含め安心できる」
と、定期的なリモート産業医面談は好評です。